12月10日。
朝の5時に目覚めてしまった。
遠足に行く子供みたいだ。
せっかくなので、まだ真っ暗な道を歩く。
…前にもこんな朝があった。
学生時代に徹夜で試験勉強をした時だ。
出来る限りの対策をして、まだ夜中なのに頭が冴えてしまうやつ。
目次
コンビニへ
12月はだいぶ寒い。
午前中にATMでお金を移す用事があることを思い出して、
さっさと済ませるかとコンビニへ向かう。
いつもなら手数料がかからないタイミングを狙って動くが、今日は記念日だ。
少しくらいいいだろう。
小腹も空いてきた。
一番近所のコンビニは、なんと時短営業でまだ閉まっていた。
そうか、時短営業。そんなのもあった。
夜が明ける前に外をうろつくのが久しぶりで、まったく意識していなかった。
次に近いコンビニを目指す。そちらは開いていた。
ATMの用事を済ませ、腹ごしらえの候補を探す。
学生の時にはたしか、ジャンプの立ち読みも兼ねていた。
そしてコールスローサラダ、あんパン、ホットコーヒーを買った記憶がある。
ならって同じようなものを買ってみる。
以前は小銭を名残惜しそうにして払っていたが、今は時代が変わった。
電子マネーで一瞬だ。
小雨がパラつく
帰り道、小雨がパラッと降ってきていた。
まだ真っ暗な道を、
冷たい空気を味わいながらゆったりと戻る。
人生で重要な日のいくつかが、
天気が悪かったことを思い出す。
用意を済ませ、出かける
コンビニから家に戻り、早めの朝食を済ませる。
学生の時に食べたものに加え、コロッケパンも食べる。
わざと普通の、ロングセラーのようなものばかり。
きっと数十年後も売っているんじゃないか?
…その時が楽しみだ。
過去をなぞって遊ぶのは、儀式に近いものがある。
人生単位のルーティン。
振り返って覚えていられたことは、慈しんだり、懐かしんだりしてみてもいいと思う。
今日も忘れたくない普通の1日が始まる。
曇り空の向こうへ
役所で手続きをしてきた。空は曇っていた。
Celeste(セレスト)という色がある。
曇り空のような、青空のような、はっきりしない色。神います至高の天空。
この色は、昔から気に入っている。
未来はどうなっていくのか。晴れるのか、荒れるのか。
たゆたっていて、玉虫色のような親しみを持っている。
進めば虹が出るかも知れない。
何度も締め直して緩ませてきた、気持ちをまた、締め直す。
おし。こっからだ。はじまりの朝だ。